- 東京医科歯科大学2024年度医学部・歯学部第3問投稿者: 管理人
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東京医科歯科大学 入試問題解答・解説 2024年度医学部・歯学部第1問
(医学部・歯学部の小問全てを(1)~(5)に統合して解説しています。)
今回は過去問解説です。
東京医科歯科大学医学部及び歯学部の2024年度の入試問題です。(*東京医科歯科大学は2024年
10月に東京科学大学に統合されました)
(1) 関数\(\quad y=\tan\dfrac{x}{2}\quad \)の導関数\(\;\dfrac{dy}{dx}\;\)を\(\;\cos x\;\)を用いて表せ。
(2) 次の等式を示せ。
\(\displaystyle\int^\tfrac{π}{2}_0 f(\sin2x)\sin x \,\mathrm{d}x=\displaystyle\int^\tfrac{π}{2}_0 f(\sin2x)\cos x\,\mathrm{d}x\)
(3) 次の等式を示せ。
\(\displaystyle\int^\tfrac{π}{2}_0 f(\sin2x)(\sin x+\cos x) \,\mathrm{d}x=\displaystyle\int^1_{-1}f(1-t^2)\,\mathrm{d}t\)
(4) 次の定積分の値を求めよ。
\(\qquad \qquad \displaystyle\int^\tfrac{π}{2}_0\dfrac{\sin x}{1+\sqrt{\sin 2x}}\,\mathrm{d}x\)
医学部医学科は小問(2)~(4)の出題。
医学部(保健衛生学科検査技術学専攻)・歯学部(歯学科)は、小問(1)~(4)の出題。
小問(1)から解いていきます。
小問(1)は、医学部保健衛生学科(検査技術学専攻)及び歯学部(歯学科)のみの出題です。
小問(4)の計算の手助け誘導になっています。
(1) 関数\(\quad y=\tan\dfrac{x}{2}\quad \)の導関数\(\;\dfrac{dy}{dx}\;\)を\(\;\cos x\;\)を用いて表せ。
\((\tan x)’=\dfrac{1}{\cos^2 x}\) ですから、合成関数の微分で \(\dfrac{x}{2}\;\;\)の微分をかければ良いですね。
\(\;\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{1}{\cos^2 \dfrac{x}{2}}\cdot\dfrac{1}{2}=\dfrac{1}{2\cos^2\dfrac{x}{2}}\)
半角の公式から、
\(2\cos^2\dfrac{x}{2}=1+\cos x\;\;\)ですから、
\(\;\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{1}{1+\cos x}\)
次は小問(2)です。
医学部医学科の場合はここからになります。
(2) 次の等式を示せ。
\(\displaystyle\int^\tfrac{π}{2}_0 f(\sin2x)\sin x \,\mathrm{d}x\)
\(=\displaystyle\int^\tfrac{π}{2}_0 f(\sin2x)\cos x\,\mathrm{d}x\)
置換積分を使って計算する問題です。
\(x=\dfrac{π}{2}-u\;\)とおくとうまく行きます。
なぜそうなるのか、といえば、
論理必然性はありません。
数Ⅲの微積分に多いですが、
一定のルールに基づく新しく覚えた計算を行うだけの問題、があります。
本問もそのような積分の計算をさせる問題です。
\(x=\dfrac{π}{2}-u\;\)と置換すると、なぜうまくいくかといえば、
「そのための問題として作られている」からです。
必要なのは「どの道具用の計算問題なのか」で、
本問では、「\(\sin\;\)と\(\;\cos\;\)を入れ替えると同じ形の式のときは\(\;x=\dfrac{π}{2}-u\;\)と置くとうまくいく問題(として作られている)」というのがポイントです。
\(x=\dfrac{π}{2}-u\;\)と置くと
\(\dfrac{dx}{du}=\left(\dfrac{\pi}{2}-u\right)’\)
\(\dfrac{dx}{du}=-1\) (または、\(dx=\left(\dfrac{\pi}{2}-u\right)’\;du\))
より
\(dx=-du\)
\begin{array}{c|c}x & 0\to\dfrac{\pi}{2}\\ \hline u & \dfrac{\pi}{2} \to0\end{array}
\(\displaystyle\int^\tfrac{\pi}{2}_0 f(\sin2x)\sin x\mathrm{d}x\)
\(=\displaystyle\int^0_\tfrac{\pi}{2}f\left\{\sin(\pi-2u)\right\}\sin\left(\dfrac{\pi}{2}-u\right)(-du)\)
\(=\displaystyle\int_0^\tfrac{\pi}{2}f(\sin2u)\cos u\mathrm{d}u\)
\(=\displaystyle\int_0^\tfrac{\pi}{2}f(\sin2x)\cos x\mathrm{d}x\)
小問(2)は、
「\(\sin\;\)と\(\;\cos\;\)を入れ替えると同じ形の式のときは\(\;x=\dfrac{π}{2}-u\;\)と置く」という定番の手法を適用して正しく計算できるかを問う問題といえます。置換積分の定番の置き換えの知識と、正しい計算処理の仕方を理解していれば、スムーズに解答できるでしょう。
また、さらに前提として、\(\sin(\pi-\theta)=\sin\theta\;\)や\(\;\sin\left(\dfrac{\pi}{2}-\theta\right)=\cos\theta\;\)などの公式は当然に覚えていないといけません。(はっきりと覚えていなくても単位円などから再現できるようにしておきましょう。)
次は小問(3)です。
(3) 次の等式を示せ。
\(\displaystyle\int^\tfrac{π}{2}_0 f(\sin2x)(\sin x+\cos x) \,\mathrm{d}x\)
\(=\displaystyle\int^1_{-1}f(1-t^2)\,\mathrm{d}t\)
今度は、
\(t=-\cos x+\sin x\;\)とおくと
\(t^2=(-\cos x+\sin x)^2\)
\(=1-2\sin x\cos x=1-\sin2x\;\)より、
\(\sin2x=1-t^2\;\)
また、
\(\dfrac{dt}{dx}=\sin x+\cos x\;\)より
\((\sin x+\cos x)dx=dt\;\)となります。
\((\sin x+\cos x)^2\;\)からは、\(\sin^2 x+\cos^2 x=1\;\)と、\(2\sin x\cos x(=\sin2x)\;\)が出てくるということ、
\(t=-\cos x+\sin x\;\)とおくと、\((\sin x+\cos x)dx=dt\;\)とうまくいく事、
これも、論理必然というよりは、「うまくいくように作られた問題」と言えます。
解く側としては、どのような置換をすればうまく積分できるのか、を考える問題です。
三角関数の式の現れ方などを見て推測しましょう。
\(t=-\cos x+\sin x\;\)とおくと
\(t^2=(-\cos x+\sin x)^2\)
\(=1-2\sin x\cos x=1-\sin2x\;\)より、
\(\sin2x=1-t^2\;\)
また、
\(\dfrac{dt}{dx}=\sin x+\cos x\;\)より
\((\sin x+\cos x)dx=dt\;\)
\(t=\sin x-\cos x=\sqrt{2}\sin\left(x-\dfrac{\pi}{4}\right)\;\)より、
\begin{array}{c|c}x & 0\to\dfrac{\pi}{2}\\ \hline t & -1\to1\end{array}
よって
\(\displaystyle\int_0^\tfrac{\pi}{2}f(\sin2x)(\sin x+\cos x)\mathrm{d}x\)
\(=\displaystyle\int_{-1}^1f(1-t^2)\mathrm{d}t\)
小問(4)です。
小問(1)~(3)を利用します。
小問(2)から
\(\displaystyle\int^\tfrac{π}{2}_0 f(\sin2x)\sin x \,\mathrm{d}x\)
\(=\displaystyle\int^\tfrac{π}{2}_0 f(\sin2x)\cos x\,\mathrm{d}x\)
であるから
\(\displaystyle\int^\tfrac{π}{2}_0 f(\sin2x)(\sin x+\cos x) \,\mathrm{d}x\)
\(=2\displaystyle\int^\tfrac{π}{2}_0 f(\sin2x)\sin x \,\mathrm{d}x\)
\(=\displaystyle\int^1_{-1}f(1-t^2)\,\mathrm{d}t\)
\(f(1-t^2)\;\)は偶関数であるから
\(\displaystyle\int^1_{-1}f(1-t^2)\,\mathrm{d}t=2\displaystyle\int_0^1f(1-t^2)\mathrm{d}t\)
よって
\(\displaystyle\int^\tfrac{π}{2}_0 f(\sin2x)\sin x \,\mathrm{d}x=\displaystyle\int_0^1f(1-t^2)\mathrm{d}t\)
ここで、\(f(x)=\dfrac{1}{1+\sqrt{x}}\;\;(x\geqq0)\) とすると
\(\displaystyle\int^\tfrac{π}{2}_0 f(\sin2x)\sin x \,\mathrm{d}x\)
\(=\displaystyle\int_0^\tfrac{\pi}{2}\dfrac{1}{1+\sqrt{\sin2x}}\sin x\mathrm{d}x\)
\(=\displaystyle\int_0^1f(1-t^2)\mathrm{d}t\)
\(=\displaystyle\int_0^1\dfrac{1}{1+\sqrt{1-t^2}}\mathrm{d}t\)
ここで
\(t=\sin\theta\;\)とおくと、
\(dt=\cos\theta\,\mathrm{d}\theta\;\)
\begin{array}{c|c}t & 0\to1\\ \hline \theta & 0\to\dfrac{\pi}{2}\end{array}
\(\displaystyle\int_0^1\dfrac{1}{1+\sqrt{1-t^2}}\mathrm{d}t\)
\(=\displaystyle\int_0^\tfrac{\pi}{2}\dfrac{1}{1+\sqrt{1-\sin^2\theta}}\cos\theta\,\mathrm{d}\theta\)
\(=\displaystyle\int_0^\tfrac{\pi}{2}\dfrac{\cos \theta}{1+\cos\theta}\mathrm{d}\theta\)
\(=\displaystyle\int_0^\tfrac{\pi}{2}\left(1-\dfrac{1}{1+\cos\theta}\right)\,\mathrm{d}\theta\)
\(=\displaystyle\int_0^\tfrac{\pi}{2}\left(1-\dfrac{1}{2\cos^2\dfrac{\theta}{2}}\right)\,\mathrm{d}\theta\)
\(=\left[\theta-\tan\dfrac{\theta}{2}\right]_0^\tfrac{\pi}{2}=\dfrac{\pi}{2}-1\)
小問(4)は小問(2)(3)の結果を利用して更に置換積分の計算をする問題でした。
小問(4)で\(\;t=\sin\theta\;\)と置いたのは、
\(\sqrt{a^2-x^2}\;\)の形があるときは、\(x=a\sin\theta\;\)と置くとうまくいくという手法の知識があるので、それを用いている。
数Ⅲの微積分では、公式に近い形で、特定の典型問題の解決手法を知識として知らないと厳しいものがあり、また、論理展開でなく「計算」をやらされてる感の問題も多いため、「こつこつ」勉強するのが苦手な人は、半ば公式のような「手法の暗記」が進まない場合もあろうが、こうした手法は、知らなければ自力で思いつくのが難しいものも多いため、面倒でも、参考書や教科書準拠問題集で演習して覚えるしかありません。
「こんな置換をどうやって思いつくの?」と思うこともあるかも知れませんが、すべてをその場で思いつく必要はありません。まずは、典型的な形と対応する手法を演習を通して身に付けていきましょう。
また、医学部(保健衛生学科検査技術学専攻)・歯学部(歯学科)は、小問(1)が小問(4)の手助けになっています。
お疲れ様でした。
次回未定です。
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